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ピアニスト&ピアノ講師 村田智佳子のブログ

ピアノ弾きの日常、想い、ロシアのこと、レッスンのこと、コンサートのことを綴っています♪

マリア・ジョアン・ピリス、最後の日本公演

ピアニスト マリア・ジョアン・ピリスさんが2018年をもって引退されることを宣言。
最後の日本公演、なんとか川口リリアで行われた公演のチケットをゲット。
聴きにいくことができました。






マリア・ジョアン・ピリス、最後の日本公演_b0162238_13121002.jpg
(お写真はプログラムより)





この公演はお弟子さんのリリット・グリゴリアンさんとのデュオ。
プログラムはオールモーツァルト。







音源は聴いていたけれど、実際コンサートに行ったのは初めてです。
どうしても生演奏で聴きたくて。







一言で言ったら「感動しかない」









一番心にきたのは、この引退公演、最後のプログラムにお弟子さんとのデュオをもってきたところです。








それぞれのソロ演奏もあったのですが、お弟子さんが弾いている時、舞台上で座ってその演奏を聴いているピリスさんの姿にエレーナ先生が重なり、涙腺崩壊。







まっすぐな姿勢でじっとお弟子さんの演奏を聴いているピリスさん。
どんな想いでいらしたのかなと。







そしてお弟子さんの演奏が終了すると、水を注いで渡してあげるキュートな先生。
会場にアットホームな空気が流れました。







そしてピリスさんの演奏の時はその逆。
お弟子さんが先生の演奏を舞台上で聴いている。
終わると、先生に水を差し出すお弟子さん。
それを飲む先生。






素敵でした。







自分は舞台を引退し、次の世代にバトンを繋いでいく。
そんな姿を目の当たりにした感じです。






連弾の際、演奏前にメガネをかけるピリスさん。
演奏後、メガネを外してお辞儀をするピリスさん。
凛と、自然に舞台に登場する、舞台を後にするピリスさん。







演奏以外のそんな姿もエレーナ先生と重なりました。
短めの髪で背の高さも似ていらして。







演奏で一番印象に残っているのは、音の幅が膨大であること。
音色もしかり
音量もしかり。






これもエレーナ先生の演奏に重なりました。






数え切れないほどの音色。
研ぎ澄まされた弱音と、びっくりするくらい強烈な楽器の鳴り。
打楽器のようなちょっぴり乱暴とも取られるかもしれない鋭い音があるかと思うと、とっても優しく澄んだ穏やかで自然な歌っているかのような美しいメロディーが奏でられたり。






ご一緒している指揮者の先生もよくおっしゃっているのですが






「強い音が出ない人は弱い音は出せない。その幅があるから表現が広がる。」






音量だけでなく全てに通じます。
本当に、ピリスさんのそのレンジの広さ。
私もちょっぴりでもいいから近づきたいです。







そしてびっくりしたのは、椅子の移動など、全てご自身でやっていたこと。





私たちもやることありますし、そのことに関しては何も思っていませんでしたが、まさかピリスさんが!と、会場がどよめいていました笑)







最後に。





街はいろんな音にあふれ、そのガヤガヤの中で時間があっという間に過ぎていく現代の世の中。
たった一台のピアノで、しかもとてもシンプルなモーツァルトの音楽が奏でられている空間で、人々がジーーーっと耳を澄まして聴きいっている絵。







このギャップ。
なんか、脳がこういう時間をすごく必要としていたような気がします。







すごくないですか?







ピアノ一台のシンプルな音に、何百人の人たちがジーーーーット、シズーーーーかに、集中して聴きいるんです。






何度もすみません笑






シンプルな美しさ。
それを感じられる心をなくさないようにしたい。
そう強く思いました。







今生きている私たちが奏でる音楽。
その時しか聴くことのできない貴重な時間。
巨匠と呼ばれる方々のチケットはなかなか入手が難しいのですが。
なんとか時間をつくって足を運んで行きたいです。







演奏後、スタンディングする観客の拍手に何度も応えていたピリスさん。
そんな先生と力強く手を握って一緒にお辞儀するグリゴリアンさん。
きっとピリスさんの背中を追って、グリゴリアンさんはこれからバトンを引き継いでいくことと思います。
引退が悲しいとか、そういう表情ではなく、晴れやかで暖かな自然な笑顔のピリスさんの表情が心に残りました。








余談ですが、この川口リリアでの公演と同じプログラムで本当に最後の日本公演が浜離宮ホールでありました。
が、その公演、プログラムが変更になったそうです。
オールモーツァルトだったプログラム、シューベルトの幻想曲に変わったそうです。
とーーーーーーーっても聴きたかったです。
この曲、私の中では封印しています。
いつか弾きたい。
いつか必ず。






おまけです。
ピリスさんに関するすごいエピソードを見つけました。
これは夢の中の出来事でよく起こっても、現実の世界であるなんて。。。












いろんな想いが交差したコンサート。
最近特に涙脆いです。
そこにいることができて、本当に幸せな時間でした。



マリア・ジョアン・ピリス、最後の日本公演_b0162238_13121599.jpg


♪♪♪♪♪♪♪♪

今日は小田原で合唱団の強化合宿、その後九州へ移動。

新幹線こだまは小田原から名古屋まで2時間かかりました笑。
そしてのぞみに乗り換え。

だんなさんのお父さまの法事です。
トンボ返りですが、明日は家族でいい時間になりますように。













by chikako-kokachi | 2018-04-29 23:31 | コンサート