人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ピアニスト&ピアノ講師 村田智佳子のブログ

ピアノ弾きの日常、想い、ロシアのこと、レッスンのこと、コンサートのことを綴っています♪

“人”が音楽に現れる

パッと目を惹かれる華やかさ。
お話になる声のトーンの心地良さ、話し方からは品の良さやユーモアーが溢れる。
その上品なお姿のままピアノに向かうと、想像以上の情熱とともに魂のこもった熱演。
時に荒々しく、時に繊細に、音楽に没頭する姿。
愛されるキャラクター。
ピアノと同じく、文章も“いさぎよい”




何より、たまらなくチャーミング。





音楽へのものすごい情熱。
それはもちろん演奏もそうですが、レッスン風景の映像からもビシビシ伝わります。
積み重ねてきた奏法を、覆され、一から新しい奏法を学ぶ。
葛藤、苦しみ、はかりしれない努力、どれだけの魂を音楽に、ピアノにかけてきたのか、想像しただけで涙がでました。




正直、私は何かを誤解していたように思います。




随分前に追悼番組の録画を見ました。
が、あまりに衝撃が強すぎて、ブログに書こうにも書けなかった。
何の衝撃か、具体的に言葉にすることが難しい。



グッと心にきた。
こんなにもピアノを深く愛し、ただただ純粋に音楽に向き合って、お亡くなりにになる直前までタッチを研究していたなど。
その演奏にはただお上品で、ただピアノが上手いだけでない、変な枠から外れた、ある意味“ぶっとんだ”魅力で溢れていて、あのレッスン風景は、上手く言葉にできないけれど、ある意味“宇宙的な”、ものすごい音楽への愛情を感じるシーンばかりでした。




自分は何をやっているのか、と考えさせられます。
本当に全身全霊かけて音楽に向き合っているのか。
自分に甘くなっていないか。
今の状況に慢心していないか。





もっと上手になりたい。
強くそう思うわりには、浅いところにいるのではないか。





納得のいく演奏ができるようになったのは、50歳にさしかかる頃だったと、ありました。目先の何かに満足することなく、時間をかけて、じっくり取り組んで見えてくることがある。これは学生時代の自分の演奏を思うと実感できます。でも、まだまだ浅すぎる。人生あとどれくらい生きる事ができるかわからないけれども、もっともっとある意味、危機感を持って、大切に時間を使っていかないといけない、そう思いました。果たして何歳までピアノを弾けるのだろう。





人の生き様は音楽に現れる!!






これ以上無理に言葉にするのはよくないような気がします。
やっぱりうまく書けない。。





宜しければ映像をごらんください。





NHKの追悼番組が映像として残っていました。
(生徒さんに教えていただきました。ありがとうございます。)




また、題名のない音楽会の映像も発見しました。




また、昔読んだ本も引っぱりだして読みました。
テンポ感があって壮快。




アルゼンチンまでもぐりたい (中公文庫) 中村紘子著



ピアニストという蛮族がいる (文春文庫) 中村紘子著



ロジーナ・レヴィーン先生の元で、一から奏法を学び直したと仰っていましたが、その先生の旦那さま、ヨゼフ(ジョセフ)・レヴィーン先生のピアノの奏法の本です。これも本棚から引っぱりだしてみました。改めて読むと、新たな発見があります。昔自分がチェックしていた部分をみて、「なるほど」と思いました。



ピアノ奏法の基礎 ジョセフ・レヴィーン 中村菊子/訳



(序文のようなものを書いていらっしゃいます)





最後にひとつフレーズが。





転機が訪れたのは30歳。
ご結婚された時。

私とは別世界の色々なことを考えられる人でした。
色々なことを教わりました。
いまや、もう、いいことも悪い事も全部影響を受けています。
(TV 「魂に響くピアノを」より)




結婚に限らず、世界が開けるような出会いがあるように思います。そんな出会いによって、音楽が変わっていく気がします。





チャーミング、とてもチャーミング。
やっぱり生き様、その“人”が音楽に現れますよね。
女性として、音楽家として、心から衝撃を受けました。


中村紘子さん、お会いしてみたかったです。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。

“人”が音楽に現れる_b0162238_22135599.jpg

by chikako-kokachi | 2016-09-04 08:32 | 音楽 ピアノ