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ピアニスト&ピアノ講師 村田智佳子のブログ

ピアノ弾きの日常、想い、ロシアのこと、レッスンのこと、コンサートのことを綴っています♪

30代後半に思う、何の為に弾くのか。

30歳後半を過ぎた今の自分の想いを文章にしてみようと思います。
文字にするとみえてくることがあります。
ちょうどリサイタルも終え、いい区切り。
音楽との向き合い方、もっと言うと生き方?
将来の自分に向けてのメッセージ?

ここから先はお時間、ご興味ございます方のみお付き合いくださいませ笑!
長いですし、まとまらない文章ですので!




音大に入る時、当時師事していた先生の影響もあり、ピアノの道を選ぶなら、この世界で一人暮らしができて食べていけるようなピアノ弾きになりたい、そう思っていました。(その大変さも知らずに)




そういう訳で、ピアノピアノピアノで育ったわけでもない私にとって、大学に入ってからが必死でした。人より吸収に時間がかかるので、より時間をかけて練習。ひたすら練習。あとは世間を知る為に、お小遣い稼ぎの為にバイト。今思っても、結構精一杯の音大生だったように思います。言い方を変えたら、心に余裕のない音大生です。笑。




大学院に行きたいと思ったのは、大学3年から師事したエレーナ・アシュケナージ先生にもっと習いたいと思ったから。そうですよ、大変でしたよ!英語も対してままならないのに、いきなりロシア人の先生にレッスンを受けるって!外国の方に会う経験だってそれまでの人生ほとんどなかったのに!笑。毎週レッスンの前日は胃が痛くて。なるべく前日はその他の授業を取らずに、家にこもってさらっていた記憶があります。




どんなにさらっても先生の要求にたどりつかず、がっかりさせてしまったことが多々ありました。(今先生とロシア語で会話してもこの話でてきます苦笑)怖かったし、なんかもう必死。でもレッスンは本当に本当に素晴らしくて。どんなに泣いても、どんなに嫌がられても?付いて行きたい、と思いました。




悩んだ時は逃亡もしました。笑。気が狂いそうな日もあって、一緒に住んでいた家族はこの変な娘をどう思っていたのだろう、と、、今思い返すと、相当な迷惑をかけていたのだろう、と申し訳ないくらいです。




大学院でも相変わらず。そして、留学の想いがムクムク湧いてきました。西洋にいってみたい。この音楽がうまれた国々に行きたい。始めはドイツリートを勉強したくてドイツを考えました。試しに友人とドイツやウィーンをまわりました。(この時初めてヨーロッパへ)素晴らしい旅だったけど、自分が住む、勉強する想像がつかなかった。そして、もうほとんど院も修了試験間際になった時期に、運命のCDと出会います。そのCDのピアニストがトロップ先生。様々なご縁とタイミングで院を修了後の9月、モスクワに渡ることになりました。





モスクワでの生活の話をしていると、永遠に続くので割愛。笑
4年間の生活を終え、帰国しました。





帰国後、とりあえず履歴書を書きました。目標はピアノで食べていくこと、独立することでしたので、大学の講師、音楽教室、ピアノ伴奏の仕事等探しては、履歴書を書いていました。だいたいの確立で書類で落選。奇跡的に通った書類があっても、面接で×がついたり。凹みました。笑。





そうこうしているうちに、中学の頃からピアノを習っていた恩師が合唱のピアニストのお話をくださったり、昭和音大付属音楽教室から合格の通知を頂いたり、少しずつ少しずつ動き出したのです。学生時代同様、必死でした。外で自分が出す音で、仕事が来なくなる危機感をいつも感じながらですから。教えるのも、ゼロからのスタート。ただ目の前のことを一生懸命やることを中心に生活していたら、いつの間にか時が過ぎていました。






今もその続きです。
沢山の方の支えのお陰で、念願の一人暮らしも果たしました。(貧乏だったけど笑!)
そして旦那さんの大きな支えを受けて、今に至るです。




冒頭に返ります。
最近、何の為にピアノを弾いているのかな、何の為に教えているのかな。
そう思うことが多くなっていました。




たぶん、上記のように必死に走ってきた(必死に走ることしか知らなかった)今までの自分に、甘えたことを言うなれば、少し疲労を感じていたのかもしれません。仕事を頂けることは最高の喜びでしたが、多分私の小さな脳みそ?に「キャパ」の限界がきていたのかもしれません。




何の為に、の理由が欲しかった。
理由があったらもっと頑張れる、そう思ったので、常にそれを探していました。




そして、誰かの為に頑張る。
誰か自分を必要としてくれている方々の為に頑張る、そう思うようになっていました。





力が湧いてきました。でも暫くすると、また自分のエンジンを奮い立たせる理由がさらに必要になっていました。こうして、悶々と悩んでいた日々があったわけです。




それがやっと晴れてきました。





「いい」音楽をする!!!
そこにある楽譜を最高の形で音にする!!!
作曲家が魂込めた音を、じっくり向き合って表現する!!!



ここに自分がピアノを弾き続ける理由をみつけました。
それは、ソロだろうがデュオだろうが伴奏だろうが同じです。


この核がしっかりしていたら、そのことにきちんと向き合った結果、誰かの為になることがあるかもしれない。そう思うようになりました。


ピアノなんて自己満足のためだ、昔に言われたことがあります。
その時は悔しくて悔しくて。
でも冷静になったらそうなのかな、という想いもありました。



例え自己満足だとしても、そうとられても、音楽に正直に心から向き合うことで、その音楽に共感してくださった皆様が自分の活動を応援してくださっているその現実に気づいた時、ハッとしました。



音楽にとことん向き合うことこそが自分の原動力になっていて、それが自分の心を満たしてくれる。さらに自分がとことん向きあった音楽が、例えば、ご一緒している合唱団の方とか、生徒さんとか、コンサートを聴きにきてくださった方々に少しでも幸せを感じて頂けたり、何かを想うきっかけになって頂けたら、例え微々たる力であっても誰かのお役になれるかもしれない。その表情を拝見して、また私も音楽に向き合う原動力を得る。



この輪廻。





そこに気づかせてくださったのは、自分のことを支えてくださって応援してくださっている皆様、また大切な友人達でした。



信じた音楽を続けていくこと。




生きることというのは、自分一人でなく、様々に世の中と人と関係していることである。自分の好きなことに集中して、深めて、精進して、それが誰かの為になったり世の中の為になったら、素晴らしいことだ。多くの方に支えられ、そして育てられているのです。




また、自分の人生は音楽だけでなく、大切な家族、大事な友人他、多くの人との繋がりで成り立っています。限られた時間の選択は自分でするしかないのです。




様々な経験をすることで、音楽が深まるのも揺るぎない事実だと思います。
ひたすら楽器に向かって練習することももちろん大切です。ただ、それだけでなく、自然からも人からも世の中からも自分が人生の時間を使いたい、と思うことに対しては躊躇なく選択していかなくては、と思います。これは、30代も後半を過ぎたからこそ思うこと。そして今後この想いは変化していくのでしょうか?





人生には段階がある。
ただ突っ走っていた自分から進化していきたい、と思っている過渡期なのかもしれません。





人の時間には限りがあります。
突然何が起こるか分からない。
だからこそ、今この時が大切。



長々と失礼しました!!
ここまでお読み頂きありがとうございました。

生き方、働き方、時間の過ごし方。
目に見えないものだからこそ、大切にしたい。
とことんやって疲れたら休めばいい。




でも、そもそも「何のために」と言う理由づけ自体が変な感じでもありますが。
(このブログ全部をひっくり返してしまった笑)






終わりに。。。




最後だとわかっていたなら

という本に出会いました。

音楽と深く向き合うことと同様、次の世代にどうこの私の出会った先生方の素晴らしさを繋いでいけるか、ということを真剣に考えていきたいです。そして音楽に限らず、様々な経験を積むこと。美しいもの、美味しいもの、自然etc.これらに出会うことでまた何か考えが変わっていくかもしれない。そう思います。



5年後、10年後の自分がこのブログを読んだら何を思うのだろう笑
未来の自分へ。


信じた音楽を。
沢山の感謝を。
そしてぶれない想いを。

by chikako-kokachi | 2015-10-03 07:55 | その他